アンゴラ
テロ情報
現状
アンゴラでは2002年に内戦が終結した後、反政府勢力であったUNITA(アンゴラ全面独立民族運動)の武装解除及び政治政党への移行が順調に進んだ結果、現在、国内全域を活動拠点とした大規模なゲリラ及びテロ組織は確認されていません。
豊富な石油資源を有するアンゴラ北部の飛び地であるカビンダ州においては、1960年代から、同州の分離独立を目的とする「新カビンダ解放戦線(FLEC-R:FLEC Renovada)」及び「カビンダ解放戦線カビンダ軍(FLEC‐FAC:FLEC Forcas Armadas de Cabinda)」の2つの反政府組織が活動しています。しかしながら、これらの組織は徐々に弱体化しており、2003年にFLEC-FAC幹部ほか8名が投降した他、2006年には政府とFLEC-Rとの間で和平合意もなされています。一方、FLEC-FACは散発的な襲撃事件等を繰り返しています。2010年1月、FLEC-FACは、サッカーのアフリカ選手権大会参加のため、コンゴ共和国からバスにてカビンダ州に入ったトーゴ共和国選手団を襲撃し、死傷者が出ました。この事件には、カビンダ独立運動の存在を世界的にアピールする目的があったものとみられています。アンゴラ政府はこれをテロ行為であると強く非難するとともに、取り締まりを強化し実行犯と見られる2名を拘束しました。その後、カビンダ州において独立運動に関連したテロに関する情報はありません。
トラベルアドバイス
・テロ等に遭わないよう、また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努めてください。
・テロはどこででも起こりうるという意識を持つとともに、万が一テロの発生現場に遭遇した場合は、現場から離れることを優先してください。
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アンゴラ
病気・感染症情報
衛生・医療事情
公立病院では医師などスタッフは英語ができず、医療機器も少ないため、満足な治療を受けることができません。また、医療費はほぼ無料のため、大変混雑をしています。地方では医療サービスが十分に受けられないのが現状で伝統医療に頼る住民が多くいます。
私立病院の医療レベルは公立病院よりも高く、MRI、CT、血管撮影装置、透析設備、集中治療室を備えた病院や、24時間救急受け入れの病院もあります。但し、医師は公立病院との掛け持ちの場合が多いため、英語が通じる医師は限られています。入院の場合、保証金の前払いが要求され、最低でも数十万円相当の現金が必要となります。
救急搬送システムは確立していませんが、私立病院で救急車を頼む場合は、実費で事前契約する必要があります。また、脳外科手術、心臓手術、癌治療など高度の医療を必要とする場合は緊急の場合を除き、日本での治療をお勧めします。輸血、外傷など時間的余裕が1~2日あれば南アフリカ共和国あるいはヨーロッパの医療先進国に移送して治療することが良いでしょう。緊急移送費を含んだ海外医療保険に入っておくことが必要です。
警戒すべき病気・感染症
黄熱
アンゴラは黄熱流行国であり、WHOにより、黄熱リスク国に指定されています。必ず、入国10日前までに黄熱予防接種を行い、黄熱予防接種証明書(イエローカード)を取得してください。
狂犬病
2008年11月から狂犬病が拡がっており、注意が必要です。ウィルスを保有している動物(犬、猫、キツネ、コウモリ等)に咬まれたり、傷口をなめられたりすることにより感染します。発症した場合は呼吸障害に至り、致死率はほぼ100%とされています。飼育されているものを含め、動物には常に注意し、不用意に手を出さないように注意してください。万一、咬まれた場合には、石けんを使って傷口を水洗いし、直ちに最寄りの医療機関を受診し、傷口の消毒や狂犬病ワクチンの接種を受けてください。また、感染の恐れがある場合には、帰国時に検疫所にご相談ください。
マラリア
マラリア対策も必要です。マラリアを媒介するハマダラカは夜間活動します。夕方以降は窓を閉め、蚊の侵入を防ぐとともに、防虫対策(忌避剤や蚊取り線香の使用等)が必要です。屋外(海辺等)のレストランでの夕食は極力避けることをお勧めしますが、利用する場合には、防虫対策に加え、長袖、長ズボン等を着用し、素足でのサンダル履き等は避けるなど、十分な対策を行ってください。なお、流行地に2週間以上滞在し野外活動に従事する場合には、抗マラリア薬の内服が効果的ですが、必ず医師に相談の上服用してください。
デング熱
発生はルアンダが一番多いようです。原因として生活排水や水たまりに媒介となる蚊が発生するためのようです。マラリアと同じように高熱で発症します。蚊に刺されて3日間から1週間くらいで症状が出てきます。マラリアと違いウイルスによる感染症のために効く薬はありません。治療は対症療法のみです。特徴的な症状として体に発疹が出現します。一般的には自然治癒しますが、数パーセントに、デング出血熱と言われ死亡するケースもあるので注意が必要です。蚊に刺されないようにする、38度以上の急激な発熱があれば直ぐにクリニックを受診することが肝要です。アンゴラに滞在した旅行者の90人以上が帰国後に発症しており注意が必要です。(2013年9月WHO等の報告より)
食中毒
アンゴラでは日常茶飯事に食中毒が起きています。その実数は把握されていません。原因菌はサルモネラ、ビブリオ、ブドウ球菌、大腸菌のみならず腸チフス、コレラ、赤痢アメーバー、A型肝炎ウイルス、出血性細菌性腸炎などありとあらゆる細菌、ウイルスが関係しています。ある水道水を検査したところ大腸菌が検出されました。飲料水には適しません。料理人から一般人まで公衆衛生に対する教育、知識は皆無でその一番の犠牲者は幼い子供達です。多くが下痢で亡くなっています。食中毒の一般的な症状は下痢、嘔吐、腹痛、発熱です。食べて直ぐに症状が出るより数時間から1日後に出る場合が多いようです。下痢、嘔吐による脱水が起こると尿が少なくなり回数も減るでしょう。水分の補給が重要です。高度の脱水では点滴が必要です。下痢は細菌や毒素を体外に出そうという生理的現象ですから、下痢の早期に止めるようなお薬を内服するのは控えた方が無難です。整腸剤の方が良いでしょう。但し、コレラなど抗生物質の投与が不可欠な場合もあり、血便を伴っていたり症状がひどい場合は早めに医療機関を受診してください。
麻疹(はしか)
子供の罹患が多く新聞で報道されています。アンゴラに滞在する日本人は子供に限らず注意が必要です。症状としてははじめに38度以上の発熱とともに鼻水や咳、目の充血、目やに、頭痛といった風邪症状が認められます。一旦解熱するかのように見えてから、全身性の発疹が認められ、高熱が4~5日続きます。感染してから回復するまでの1ヶ月間程、体の抵抗力が低下してしまいます。この間に細菌の二次感染や結核の顕在化、その他の合併症によって亡くなる方がいます。
エイズ HIV/AIDS
エイズに対する知識が乏しいために予防が十分に行われていません。感染は母子感染、異性間、夫婦間で感染があるようです。エイズは血液や体液を介して感染します。感染者の注射針などからもうつされます。病院、歯科医院で検査を受ける場合には新しい器具を使うように伝えてください。刺青でもうつる可能性があるので針は使い捨てであるか確認が必要です。不特定多数との性交渉や売春婦との性行為は感染の危険性が高くなります。
結核
結核は、アンゴラにおいて未だに主要な死亡原因の病気のひとつです。治療を十分に受けていない人も多くいると思われますので人ごみ等では結核感染の危険性が高くなります。
チクングニア熱
チクングニアウイルスを保有するヤブカ属のネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどに刺されることで感染します。潜伏期間は3~12日(通常3~7日)で、患者の大多数は急性熱性疾患の症状を呈します。発熱と関節痛は必発であり、発疹は8割程度に認められます。関節痛は四肢(遠位)に強く対称性で、その頻度は手首、足首、指趾、膝、肘、肩の順であり、関節の炎症や腫脹を伴う場合もあります。関節痛は急性症状が軽快した後も、数週間から数ヶ月にわたって続く場合があります。その他の症状としては、全身倦怠感・頭痛・筋肉痛・リンパ節腫脹があります。血液所見では、リンパ球減少、血小板減少が認められます。重症例では神経症状(脳症)や劇症肝炎が報告されています。アフリカ、インド洋島嶼国、インド、東南アジアの熱帯・亜熱帯地域を中心として流行がみられてます。(厚生労働省ホームページより参照)
アフリカ・トリパノソーマ症(アフリカ睡眠病)
ツェツェバエに刺される事により感染します。アンゴラは、未だにアフリカ・トリパノソーマ症が蔓延している国のひとつです。アンゴラで流行しているアフリカ・トリパノソーマは通常Gambian型です。主な流行地としては、Luanda市郊外、Bengo州、Kwanza Norte州,Kwanza Sul州(Calulo,Mussende,Kibala)、Malange州(Cacuso,Pungo Andongo,Capanda)、Uige州,Zaire州です。症状としては、刺された所が激痛を伴う炎症性の結節(コブ)となります。また刺されて1週間~1ヶ月後に発熱、悪寒、頭痛、発疹、リンパ節が腫れたり、貧血がおこると言われています。予防としては、ツェツェバエに刺されないことが一番ですが、虫除けスプレーは効果がないと言われています。また薄手の服であれば、服の上から刺す事があります。濃い色を好みますので、濃い色の服、特に青色の服は避けてください。アフリカ睡眠病を発症するII期になると治療は困難を極め、致死率が非常に高くなります。しかしアフリカ睡眠病発症前のI期であれば、投薬にて治療が可能です。そのためツェツェバエに刺され、アフリカ・トリパノソーマ症の感染が疑われたら、医療機関に、なるべく早く受診してください。
オンコセルカ症(河川盲目症)
アンゴラはオンコセルカ症が未だに残っているアフリカの4ヶ国のひとつです。この病気はフィラリア症のひとつで、急流の川で繁殖するブユ(Blackfly)に刺される事によりオンコセルカ(回旋糸状虫)の幼虫が皮膚に接種されて感染します。症状としては皮膚の痒み、丘疹性皮膚炎、皮下に小結節(オンコセルカコーマ:小さなコブ)やリンパ節の腫れを認めます。しかし最も重要な症状は、進行すると失明することです。世界的にみると失明の原因の第2位がこの病気です。アンゴラではHuila州、Bengo州、Moxico州、Kwanza Norte州、Benguela州、Cuando Cubango州、Lunda Norte州、Lunda Sul州で刺される危険性があります。予防としては、ワクチンはありませんので、ブユに刺されないようにすることが一番です。
住血吸虫症
ビクトリア湖を始めアフリカの川、湖水にはマンソン住血吸虫、ビルハルツ住血吸虫に汚染されており長期滞在者に比例して陽性率が高くなります。川で泳いだり足をつけたりすると感染の可能性が高まります。ご注意ください。人等の皮膚に侵入して感染します。感染した部位は、感染後数時間から1週間程、発疹がでたりします。その後、発熱や頭痛、筋肉痛、呼吸器症状といった症状が現れます。ビルハルツ住血吸虫は、尿管と膀胱に感染するため血尿や乏尿、長期間の感染で膀胱癌になることもあります。マンソン住血吸虫は肝臓や腸に感染するため、下痢や便秘、血便等の症状が特徴的です。検査は血液、便、尿の検査ですが日本では出来ません。南アフリカ、フランスなどのヨーロッパで検査できるようです。治療はプラジカンテ(praziquantel)商品名ビルトリシド( Biltricide/バイエルン)です。最近のアンゴラでの流行はZaire州のN'zeto市で報告がありました。感染地域は国全体で、Luanda等の都会も含まれます。主に西半分でビルハルツ住血吸虫、東半分でマンソン住血吸虫が生息しています。
破傷風
破傷風は、破傷風菌(Clostridium tetani )が産生する毒素のひとつである神経毒素(破傷風毒 素)により強直性痙攣をひき起こす感染症です。破傷風菌は芽胞の形で土壌中に広く常在し、創傷部位から体内に侵入します。侵入した芽胞は感染部位で発芽・増殖して破傷風毒素を産生します。破傷風の特徴的な症状である強直性痙攣は破傷風毒素が主な原因であり、潜伏期間(3~21日)の後に局所(痙笑、開口障害、嚥下困難など)から始まり、全身(呼吸困難や後弓反張など)に移行し、重篤な患者では呼吸筋の麻痺により窒息死することがあります。近年、1年間に約40人の患者(致命率:約30%)が報告されていますが、これらの患者の95%以上が30才以上の成人でした。(厚生労働省ホームページより参照)
ハンセン病(ライ病)
らい菌によって起こる感染症ですが、感染力は非常に弱く、成人から成人への感染はきわめて稀で、多くは小児の時期に感染します。当地では新規ハンセン病患者がいまだに多いです。
ポリオ(急性灰白髄炎)
Uige州で2011年7月7日最後の感染者が出て以来、2012年7月7日以降ポリオの感染者は確認されておりません。但し海外からの伝染の可能性もありますから経過観察中です。所謂、小児麻痺と呼ばれる病気ですが、成人にも感染します。ポリオウイルスによって主に四肢に非対称性の麻痺を起こします。ポリオウイルスは感染した人の便中に排泄されたウイルスが経口感染することにより咽頭(のど)や腸で感染します。感染した方々の90~95%はまったく無症状で経過します。症状は軽い発熱、頭痛、眠気、咽頭痛といった風邪症状が認められます。この中でウイルスが脊髄まで到達した場合に麻痺が出現します。抗体を持たない方の0.1~2%程度に麻痺が発生すると言われています。
蝿蛆症(ハエウジ症)
下着や靴を洗って外に干した時、蝿が卵を洗濯物に産み付け、その洗濯物が乾いて人が身につけたときに卵が孵って蛆となり、人の皮膚に浸入して赤く腫れたおできを作ります。予防法としては洗濯物は屋内で干す、そして洗濯物に必ずアイロンをかけることになります。
トラベルアドバイス
・水道水は飲用には適しません。飲み水はミネラルウオーターの利用が必須です。
・外食時は清潔なレストランでよく加熱調理されたものを食べてください。生野菜は避けてください。
・海外移送サービスを含む十分な補償内容の海外旅行保険への加入をお勧めします。
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